introduction
若い魔女が帰郷する。
彼女は魔女であることを隠して
都会で普通の女の子として働いている。
彼女は魔女っぽい服や生活やきまりが嫌いだった。
そういうものとはもう縁を切ったつもりなのに、
彼女が仕事をすると
時々、魔法がかかったようだと言われる。
それは魔法ではなく私の努力なの、
と彼女は思う。
若い魔女は時々帰郷する。
生まれ育った魔女の森の魔女の屋敷に。
彼女はそこで思う存分静けさと
森の気配と冬の気配を楽しむ。
そして自分の魔女の血を感じる。
こんどは、と彼女は思う。
私の力が悪い方にはたらかないとよいのだけれど。
結界をつくる。
世界の中に。
部屋の中に。
枕もとに。
いままでつらかったよね。
これからもっとつらいよね。
でも大丈夫。
ここが結界。
これがお守り。
この、眠る前になでる本。光に透ける魔法付き。
シリーズは、
「大事にする本、モノとしての本」という
新しいカテゴリーの提案です。
理解しなくていい、評論しなくていい。
大量のトレーシングペーパーの透ける写真と
浮かび消える文字から、
眠る前の時間をすこしでも
豊かなものにしてもらいたい。
それこそがわたし自身が欲しかったものだから。
一作目をつくり反響をいただくうちに、
書店さまから二度三度ではなく、
七度八度とオーダーをいただくうちに
わたしと同じものを求めるひとがいる、
と思いました。
いただく言葉は、
宝物にします。
プレゼントにしました。
治療入院のお守りにします。
大事にする本、モノとしての本という提案。
魔女の帰郷 完全版のボックスセットは
その提案を最大化した狼煙です。
一作目が一年で600冊以上のオーダーをいただき、
品質の安定とスムーズなお届けのために、
制作工程を見直し、
シリーズの価格もあげさせていただきました。
今週のおすすめでなく、一生のおすすめを。
本屋さんから離れてしまったあなたへ。
気の利いた雑貨屋さんで手に残るなにかを
探しているあなたへ。
ネットで疲れた目を閉じて
この本に触れてください。
それだけであなたの物語はもうそこにいます。
それはもともと本が持っている魔力。
本なんて大層なものをつくるつもりはなかった。
でも、わたしは本が
とても好きなのかもしれません。
あなたにも、本の魔力を、いまふたたび。
Melancolia Storytelling
一作目については、
こちらをご覧ください。
→本サイト